私の反面教師たち

15年前、抗がん剤の為に、入退院を繰り返していました。
私が、抗がん剤を受けている頃は、
まだまだ、栄養の勉強を始めたばかりです。
それも、
「体力をつける為に」と、
あくまでも、病院での治療のサブとして始めた勉強でした。

その勉強をしながら、自分の体を通して、実感できるモノ・コトも
多々あったのですが。。

病院仲間たちを見ていて、反対の意味で納得できるコトもイッパイありました。

その、私の反面教師になってくれた病院仲間達のコトを書こうと思います。


私の癌・メラノーマは、皮膚科です。
なので、アレルギー疾患の患者さんがイッパイ居ました。

去年・一昨年、『解下』って映画で有名になったベーチェットって病気の人や
シェーン・グレーン症候群って人も。。
ネフローゼなど腎疾患の人が、私の回りの病院仲間でした。
膠原病の人が、一番、多かったです。

それと、
私は、救急病棟に入院するのが好きだったので、
(長期入院の長患いの人が苦手だったので…)
リストカット&髪カットの女の子達も、何人かお友達になっていました。
病院から抜け出して、県外の私ンチにまで泊まりに来てくれたコトもありましたっけ。

長い病気に罹ると、仲間意識が強く、とっても深いお友達になった気分になってました。
病人が集まると、泣き言・愚痴・不幸話がメインです。


面会時間が終わり・・・消灯時間まで、ロビーで入院患者達の集いです。
特定疾患になってる人が・・・
「酷くなってるんだけど、
薬…増やしてもらえないんだよなぁ〜
薬使ってもらうには、もう少し、数値が足りないんだってぇ」

トクテイシッカン・・・特定疾患
医療費がタダになって、生活費が貰えて
年金を納めなくてもヨクって〜でも、年金が貰える・・・特定疾患。
で、親が特定疾患だと、子供の医療費もタダになる〜vv
ですって。  (当時、名古屋です)

真剣に、当時は「夢のような病気だね^^」と思いました。
「癌なんかにならないで、特定疾患になるべきだったのネ」なんて。

実際、和歌山毒入りカレーの犯人・・・林なんとか言う女性も
元気に自転車に乗っていたけれど、
1級の障害者に認定されてましたよね。
当時は、そのくらい簡単に障害者や特定疾患に認定されていて、
生活費も貰え、入院費・病院代もタダで、遊んで暮らしている人がイッパイでした。

遊んでる・・・なんて言ったら、語弊があるかな。。
仕事をしてないだけじゃなく、
洗濯・掃除はテキトーにするんだけど、
自炊・・・ご飯をちゃんと作ってる病人が、仲間に居なかったのです。
仲良くなった隣のベッドのオバ様は、シェーングレン症候群だとか。
原因・・・と言うか、発病は目薬だったそうです。
「目薬で発病する病気。。。??!」としか、当時の私には認識できませんでしたが。。
その頃の私は、とっても素直で「目薬なんかで発病しちゃうの??
とんでもなく可哀想な人。。。ウルウル。。。」なんて思ってました。
とても、博学なオバ様だったのだけど、
病院の食事が食べられないそう。
「こういう煮物が嫌いなのよぉ〜」と苦笑してらっしゃいました。
で、
焼き物・揚げ物がなく、煮物ばかりが続くと、まったく食べるモノがないらしく
時々、夜中近くになって、看護婦さん達が減ると
カップヌードルにお湯を入れてきて、食べてらっしゃいました。
私は、内心「病気でカップヌードルなんて食べていいの??」なんて冷や冷やしてましたけど。
(そういう『目』って、子供でもありますよね??)
するとね。。
カップヌードルを食べた翌日・・・症状が悪化してるのです。
薬も合わなくなったり、いろいろ不自由してらっしゃいました。
で、落ち込んで、いっぱい嘆いてらっしゃるのだけど、
「あのカップヌードルがいけなかったのかしらん〜?」なんて言葉は
一度もお聞きすることはありませんでした。

次は、ベーチェットの患者さん。
この方は、殿方だったので、病室で何を食べてらっしゃるのかは
知りません。
でも、しょっちゅうロビーでタムロしていたので、かなり仲良くなりました。
病院の近くが自宅アパートだそうで、
時々、外出に行かれてて・・・
その外出前に、入院仲間に「ハンバーガーの欲しい人ォ」と募って
買い出しをしてくれてました。
私は、そんな余分なお金が無かったし、
病院で寝てばかりだったから、病院の食事以外に食べられなく
買ってきてもらったコトはないのですが。
当時、私の病院には、カップラーメンとハンバーガーの自販機が
置いてありました。
この患者さん・・・会うと、いつもコーラか缶コーヒーを持っていて、
自販機のカップラーメン、ハンバーガーの常連客さんでした。
体調が悪くなると、車椅子にもなるほどの症状で・・・
いつも「お先真っ暗」の話ばかりをしていました。
その“暗さ”が、当時の私の波長とピッタリ合ってたのですが。。
私が、こういう栄養学を勉強している話もしていて、
一時期、そのベーチェットさんも、病院の食事をきちんと食べたり
退院したら、アパートで自炊もしてみたりしていました。
(それまでは、退院するとラーメンばかりを食べに行ってたそうです)
やっぱり、自炊をするより、入院して、病院食を完食している時が
体調が一番良かったようです。
で、
特定疾患って、更新するらしく(曖昧でごめんなさい)
そのベーチェットさんは、ある時
凄く焦った顔をして「認定が切られるかもしれない(^^ゞ」と言ってました。
認定されているモノが、他にも労災とかがあるそうで・・・
かなりの金額を毎月もらえていたのだけど、
認定をきられると、そのお金が打ち切られるのだそうです。
で、2日後だか、3日後の血液検査の前まで、そのベーチェットさんは
カップラーメンとコーラだけで過ごしていました。
そしたらね、
ちゃんと、その血液検査は悪化していて、認定は打ち切られずに済んだのです。
私より、9歳年上だったから、当時40歳そこそこの男性です。
私「健康になって働けばいいじゃん!!」
ベー「健康になる前に、打ち切られたら生活できない!!」
と、言ってたけど、大きなバイクに乗れるようにもなっていました。
「バイクに乗れて、仕事ってできないのかなぁ〜??」と不思議でしたけど。
もう、お友達を辞めました。
これは、とってもショックでした。

次は、私の抗がん剤最後となった時、
たまたま大部屋が空いてなかったので、二人部屋で同室となった
とんでもない我が侭なオバチャンです。
このオバチャン・・・昔は「とっても綺麗だったろうなぁ〜」って女性。
何かの事故で顔を怪我して・・・
でも、その時は、体調が悪く、その怪我の形成手術ができなかったとかで
入院し直して、手術待ちの人でした。
でも、
消化器科やら、循環器科やら、いろんな『科』に回されて
「全然、手術してもらえないのよぉぉ」と愚痴ってらっしゃいました。
片方の頬をガーゼで覆ってました。
その女性・・・食事になると、とにかく煩いのです!!
「こんな不味いもの!! 私は食べないの! 匂いも嗅ぎたくないわッ!!」って。
毎食、ご主人がお寿司屋さんやら、お料理屋さんで買い出しをして
出前持ちをしてました。
その女性曰く「私はね、お魚は白身! 野菜は食べないの!
苺とメロンしか食べないの!!」ですって。
お肉は牛肉のどのランクだとか、なんちゃら・かんちゃら・・・
ホント、講釈の多い女性で、横で病院食を食べてる私はたまったモンじゃなかったです。
私は、看護婦さんに頼んで、2〜3日で部屋を変えてもらって
そのオバチャンとは、それっきりお話しはしてませんが、
何ヵ月後かに、外来に行った時、
そのオバチャンを見た時・・・まだ、頬のガーゼはそのままでした。
顔を手術するにも、麻酔は必要です。
麻酔に耐えられるだけの体が必要なのですよね。
消化器・循環器の医師が、NGを出している。
白身魚の切り身やお刺身。特上牛肉、苺にメロン。
これが、体に悪いモノじゃないコトは誰でも知っています。
でも、それだけじゃ、完全に欠落している栄養素がありますよね。
カルシウムやビタミンB群なんて、メチャクチャ足りなくなりますよね。
ミネラルだって摂れそうにないし。
特別に大きな病気を持っているワケじゃなかった・このオバチャン。
この人を見て、私は『食と体』の関係をつきつけられた思いがしました。

そのオバチャンとの同室を解放してもらって、大部屋に移り〜
そこで一緒になった女性が、5年前に胃癌をしたって人でした。
癌の再発でもなく、転移でもなく・・・
その時の入院は、欝。
ご主人とお姑さんと同居してるという女性でした。
5年前に胃癌をやったコトを、つい最近、知ったのだとか。
ご主人もお姑さんも、ご本人には隠していてくれたそうです。
そして、5年生きたトコロで、本人に教えてくれたのだそうです。
「おめでとう^^ 実はあなたは胃潰瘍ではなく、胃癌だったのよvv
5年生きたンだもの、もう大丈夫vv」と。
・・・・・・
「5年間、私は夫と姑に騙されていたんだ。。。」と、欝。
欝の人と話していると、こっちも落ち込んでいってしまいます。
24時間、同じ部屋。
この女性も、病院の食事がダメらしく、ケーキを食べてらっしゃいました。
何度か、私にも勧めて下さったのだけど・・・
どうしても、私は、他のモノを食べると、食事が入らなくなるし、
自分の目の前に出されて、
自分が食べなければ捨てられると判っているモノを残すコトに
罪悪感を持っていたので、どうしても、お断りするしかありませんでした。

他にはね。。
アデノイドの女の子。
小学校に入学前に、蓄膿とアデノイドの手術をするって女の子と同室になりました。
当然、お母さんが付き添ってました。
その女の子は普通体型だったのですが、
そのお母さんは、お相撲さんか?!と思うくらいの巨体!
で、
私「子供の手術って、自分の手術より辛いですよねぇ〜」
巨「三度目だから、もう慣れたわッ お兄ちゃんもお姉ちゃんもやってるのヨ」
でね。。
ここのお見舞いが、凄いケーキ攻め。
親子で入院してるから〜ってコトでなのか、
ケーキ10個くらい持って、お見舞いに来る人ばかりなのです。
そのケーキを同室の私達にも配ってくれるのだけど・・・
私は「私、病気ですから。。。」と言って断ってました。
病院で「病気ですから〜」って言うのも、変ですよね。
するとね、
その親子・・・そのケーキをペロリと食べてしまうのです。
ケーキはお見舞いだから「勿体無い」そうで、残さないのです。
で、勿論、病院の食事は食べられない。
でもねぇ
毎朝、看護婦さんが病室を回って、患者一人ひとりに
「昨日のお小水は? 排便は? お食事は?」と聞いている質問に対して、
「(ケーキ3個のカロリーは・・・)、全部、食べましたvv」と答えてました。
看護婦さんが出て行ってから、同室の私達に
「ケーキ3個って、食事と同じくらいのカロリーだよね^^」って。。(^^ゞ
それだけでも私は驚いていたのだけど・・・
日曜日には、目が点になりました。
お父さん・お兄ちゃん・お姉ちゃんが面会に来たのです。
すっごくデッカイ人ばっかりでした。
この人達・・・相撲部屋から来たの???ってくらい。。(^^ゞ
ブルンブルン凄い巨体の家族でした。
で、お昼になると、カップラーメンがドドッと並んで、
お父さんやお兄ちゃんは、2個も3個も食べてました。
勿論、入院している親子もです。

さすがに、この入院の時は、
私の隣のベッドの女の子(その子は、急性腎不全だったのですが)と二人で
「あれ、絶対、食事が悪いよねぇ〜vv」
「あれで、気付かないって、バッカだよねぇ〜」と
二人で「ちゃんと病院食を食べて、手術なんてしないでイイ体になろうね^^」
と、誓い合いましたvv

好き嫌いは自由かもしれないけれど、
同じ病室に病院食を食べている人間が居るのに、
平気で「不味い!」だの、「臭い!」だの言って、ケチつけて、
病室中に、カップラーメンやハンバーガーの匂いをバラ撒く人間が、多いです。
こういうコトが非常識だってコトを知らない人間が多いです。
正直言って、カップラーメンやハンバーガーの匂いなんて
病気で体調悪い時なんて、嗅ぎたくないです。
「トイレに行って、喰ってろ!!」って言ってやりたくなります。

本気で病気を治そうとしている人間が、
こんなコト・・・やってられる筈ないよなぁ〜〜〜と、思います。思ってます!!
私は、卒業しよう!!と決めましたvv


何かで病院に行かれた時、食後の時間に病棟を覗いて見て下さい。
配膳台に、どれだけの食事が残されているか!!を見て来て下さい。

私は、こういう人達の医療費を7割も、今の若い子達に借金として作っているコトに
疑問&憤りを感じています。
高額医療費なら、もっとですよね。
自己管理してない大人達の医療費を
自己管理して社会に出た若者が負担するなんて、おかしいと思いません〜??

今の子供達が、「好きなモノしか食べない」傾向にあるのだとか。。。
それって、そういう大人たちの背中を見て育っている結果なのですよね。
直接の親だけじゃないと思います。
日本中の大半の大人たち・・・の背中だと思いませんか?
子供に「コレを食べなさい!」「残しちゃダメ」と言う前に、
大人達が、自分が嫌いで食べてこなかったモノを食べる姿勢を・背中を
堂々と、子供たちに見せましょうよ^^